詩仙堂・秋明菊

皆様は添水がどのようなものかご存知でしょうか。これは「そうず」と読むのですが、「ししおどし」と言われればどのようなものか思いあたるのではないでしょうか。茶室や日本庭園のイメージの中に、この添水の音を思い出される方も多いかと思いますが、では、皆様はこの添水がいつ頃から登場したかご存知でしょうか。
添水は、すでに皆様もご存知のように、水の入り口部分となる箇所だけくり抜いた竹筒に、筧と呼ばれる注ぎ口から水を引き入れ、筒の中に一定量以上の水が溜まると、傾いて水を外に流す仕掛けです。水を外へ流すと、また元の状態へ戻るのですが、その時に勢い良く戻った空の竹筒が叩き石にあたり、音が響きます。この仕掛けは、江戸時代の文人である石川丈山が発案したと言われているもので、もともとは鹿や猪などといった動物が庭や畑へ侵入することを防ぐために置かれました。それが、静かな庭に響く音が静寂の中のアクセントとして好まれるようになり、今でも多くの日本庭園で目にすることができます。
この添水を発案した石川丈山は、徳川家康の家臣で、大阪夏の陣で抜け駆けをしたことによって軍律違反の罪に問われ、文人の世界に入ったとされています。その後、1641年に一乗寺に「でこぼこの土地に建てられた住居」という意味をもつ凹凸窠と呼ばれる庵を構え、90歳で亡くなるまでの31年間をこの庵で隠棲し、詩歌三昧の生活を送っていたそうです。この凹凸窠は、現在は丈山寺という禅宗の寺院なのですが、狩野探幽によって描かれた中国三十六詩仙像を四方の壁に持つ詩仙の間があることから、一般的には詩仙堂として知られています。
この詩仙堂の回遊式の庭園は、庭造りの名手でもあった石川丈山の設計によるもので、白砂の庭に、藤や花菖蒲、アジサイ山茶花など、四季それぞれに美しい景色を楽しむことが出来ます。その中でも特に、春のサツキと秋の紅葉が美しくこれらの季節には多くの人でにぎわいます。まだ紅葉には少し早いですが、ちょうどこれからの季節には秋明菊の花が見ごろを迎えますので、のんびりと庭に響く添水の音を聞きながら景色を眺めてみられてはいかがでしょうか。



詩仙堂
住所:京都市左京区一乗寺門口町27
開門時間:9:00〜17:00(受付〜16:45)
拝観料:一般 500円、高校生 400円、小・中学生 200円
問合せ:075-781-2954
アクセス:叡山電鉄 一乗寺駅 徒歩10分/市バス 一乗寺下り松町停 5分
○座禅
日時:毎月第1・3日曜 6:00〜8:00(ただし年末年始は休み) 要予約



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