京扇子

9月に入り1週間が過ぎましたが、まだまだ暑い日が続いていますね。建物や車の中であればクーラーを使用して涼を取られることが多いかと思いますが、外出先での暑さ対策に扇子などを持ち歩かれておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。コンパクトに収まるので、折り畳んでおけば鞄に入れておいても邪魔にはならず、日よけなどにも使えますので暑い時期には重宝しますね。同じように、扇ぐことで涼をとる団扇は紀元前の中国でも使われていた記録が残されており、古代エジプトの壁画にも羽うちわが描かれています。この団扇が日本に伝えられたのは7世紀に入ってからになるのですが、今でも夏のお祭りなどには欠かせないですね。
さて、このように紀元前から見られる団扇に比べると扇子の歴史はとても浅く、8世紀頃に日本で発明されたものになります。最初のものは木簡を束ねて紐などでつないだものだったとされているのですが、平安時代頃からは扇ぐだけではなく、儀礼用や贈答用などとしても発展してゆきました。現在でも、扇子を広げた時の形(扇形)が末広がりで縁起の良いことからおめでたい席での引出物とされたり、贈答の際にはお盆変わりに使用されたりしています。また、源氏物語などにも匂いを付けた扇子に和歌を書いて送ったり、花を乗せて送っている様子が描かれており、コミュニケーションツールとしても用いられていたことが窺えます。その他にも、武士の間では護身用に骨組みが鉄であったり、鉄のみで作られているような鉄扇も考案され、直接打撃を与えるだけでなく、中に小刀のようなものが仕込まれているものや、諜報活動用に開発されたものもあったのだそうです。それだけではなく、刀と同じような存在として大切に扱われていたのだそうです。
この扇子が、大航海時代には中国を通して世界に広がり、フランスなどでは羽を使ったものやレースを張ったものなど、装飾品の1つとして独自に発展しました。また、このように海外へ出て行った扇子の骨を使って、エジソンは電球の発明を成功させたと言われています。
このように、日本で発明された扇子なのですが、京都で独自に発展したものは特に京扇子と呼ばれています。現在でも京扇子を扱うお店はたくさん見られるのですが、その中には扇面紙の絵付け体験のできるお店も多くあり、投扇興という扇を投げて的を落とし、その落とし方によって得点を競う遊びの体験ができるところもあります。もともと扇ぐ(あふぐ)という言葉から派生した「あふぎ」が語源である扇(扇子)ですが、扇ぐだけでなく、絵をつけたり投げてみたり誰かに送ってみたりと、違う使い方をされてみてはいかがでしょうか。



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