渉成園(枳殻邸)

皆様は枳殻(カラタチ)の木を見たことがあるでしょうか。鋭い刺があることから、生垣などに用いられることも多かったのですが、ブロック塀などが増えるにつれ、あまり見られなくなってしまいました。ミカン科の落葉低木である枳殻は、春に白い花を咲かせたあと3〜4cmほどの実を付け、秋になると黄色く熟します。しかし、この実は酸味や苦味が強く食べることができないため、果実酒の材料や枳実(きじつ)と呼ばれる生薬にされるのだそうです。また、他の柑橘類を栽培する際の台木として使われることも多く、病気になりにくく早く実が成るのだそうです。
さて、この枳殻の生垣を現在ではあまり見なくなったことは先述の通りですが、この枳殻が周囲に植えられていたことから枳殻邸(きこくてい)と呼ばれている場所があることをご存知でしょうか。この枳殻邸は、正式名称を渉成園とする東本願寺飛地境内地で、平安時代初期には嵯峨天皇の皇子である源融が奥州塩釜に似せて作り、難波から海水を運ばせたとされている六条河原院苑池のあった場所であるとされています。この地に、1653年に石川丈山が宣如上人の願いによって書院式の回遊庭園として作庭したのが渉成園の始まりなのですが、1858年と1864年に火災によって焼失し、現在のものは1865年から明治の初期にかけて再興されたものだそうです。その後は、現在までほとんど変わること無く伝えられ、1936年には国の名勝にも指定されました。
園内には桜、楓、藤など四季折々の花が咲き、敷地全体の6分の1を占める印月池や漱枕居、縮遠亭、代笠席といった3つの茶室や書院などが点在します。入園料は無料ですが、別途参観協力寄付金を集めており、500円以上の寄付で、歴史や見どころなどが詳しく書かれた渉成園ガイドブックがもらえます。また、茶室や書院などの施設は様々な催し事にも利用できるそうなので、機会がありましたら、会場の候補に挙げてみられてはいかがでしょうか。
渉成園東本願寺からは東へ150m程の場所ですので、皆様も東本願寺へ行かれた際や、近くを通られた際には、少し寄り道されてみてはいかがでしょうか。



渉成園
住所:京都市下京区下珠数屋町通間之町東入ル東玉水町
開園時間:9:00〜16:00(受付 〜15:30)
料金:無料(参観協力寄付金500円以上でガイドブックがもらえる)
問合せ:075-371-9210
アクセス:地下鉄烏丸線 五条駅 徒歩7分



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☆東本願寺☆