安養寺・春祭(鉦講)

皆様が春の訪れを感じられるのはどのようなときでしょうか。鶯の鳴き声を聞いた時でしょうか。それとも、新芽やつぼみが開き始めたことに気付いた時でしょうか。さまざまな場面で春の訪れを感じられると思うのですが、本日は久御山町の人々に春の訪れを知らせるお祭りを紹介させて頂きます。
久御山町は、京都府の南に位置し、宇治川と木津川に挟まれた平野に広がっています。昔は様々な魚や水鳥、植物が生息する巨椋池と呼ばれる広大な池があったのですが、干拓された今は田園風景が広がっています。この巨椋池のあったあたりに、一つの伝説が残されているのですが、皆様は、古くは江戸時代の地誌類にも記されている弥陀次郎伝説というものをご存知でしょうか。
平安時代の終わり頃、次郎という若者がいたのですが、早くに両親を亡くしたこともあり、荒れた生活を送っていたそうです。その次郎の家の前に、ある日、一人の托鉢の僧が現れ、施しを請いました。その日から毎日のように現れる僧に腹を立てた次郎は、焼けた火箸を僧の左頬に押し付けたそうです。その僧は怒ることなく去りましたが、不思議に思った次郎が後をつけると、長岡京市にある光明寺の中に消えたそうです。そこで、光明寺の住僧にお願いし堂内に入れてもらうと、中尊釈迦如来像の左頬に火傷の跡があり、膿血が流れていたそうです。驚いた次郎は悔い改め、善行を行うようになりました。その後、夢のお告げによって淀川に網を投げ入れた次郎は、一体の観音像を引き上げました。そして、その後も精進を重ねた次郎は、いつしか弥陀次郎と呼ばれるようになったそうです。
弥陀次郎伝説はこのようなお話なのですが、この次郎の引き上げた観音像が、安養寺の十一面観世音菩薩であるとされています。そして、普段は秘仏とされているこの観音像が開扉されるのが、春祭りの期間と、33年に一度の大法要の際の長期間開扉です。次の大法要は2013年になるのですが、今年の春祭りは3月15日・16日に行われます。この春祭りでは双盤念仏がうち鳴らされます。この双盤念仏には大鉦と六字詰があるそうで、双盤と呼ばれる大型の伏鉦を用いて念仏を詠唱するのだそうです。また、祭りの期間中、合計8回鳴らされる荘厳な鐘の音色は、久御山の人々に春の訪れを告げる音となります。
安養寺は、城南近在三十三所観音巡拝にもなっていますので、機会がありましたら一度足を運んでみられてはいかがでしょうか。



安養寺
住所:久世郡久御山町東一口
問合せ:075-631-3023
アクセス:京阪本線 淀駅→のってこバス 前川橋停 徒歩1分
○春祭(鉦講)
日時:3月15日・16日



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☆久御山町☆