和伎神社・居籠祭

京都の南端部、奈良との県境に近い場所に、和伎神社と呼ばれる神社があります。この神社は、正式名称に和伎座天乃夫岐売(わきにいますあめのふきめ)神社という長い名前をもつ神社で、涌出宮と呼ばれていたりもします。JR奈良線棚倉駅から歩いてすぐのところにあるのですが、神社全体が大きな森に包まれているような神社で、一歩入ると、静かな森の空気にのんびりとした時間が流れています。
和伎神社は、766年に天乃夫岐賣命を伊勢から勧請したことに始まるとされており、その後、宗像三女神も伊勢から勧請したのだそうです。この天乃夫岐賣命は、天照大神の御魂であると言われており、天乃夫岐賣命がこの地に勧請されると、一夜にして森が湧き出し、四町八反余りが神域となったと伝えられています。その為に湧出宮と呼ばれるようになったのだそうですが、昔から雨をもたらす神様としても信仰されています。
この和伎神社で有名なものが、2月に行われる居籠祭(いごもり)で、今年も15日〜17日にかけて行われます。この居籠祭は、その年1年の稲作の豊作を予祝する農耕儀礼で、今なお室町期の農耕儀礼を今に伝える豊作祈願の祭です。この居籠祭の起源についてはいくつかの説があり、崇神天皇の時代に、大和朝廷軍と戦い敗北した武埴安彦命の軍の戦死者の霊の崇りによる疫病が流行り、それを鎮める為に村人達が齋みこもって悪疫退散の祈祷をしたのが始まりとする説や、昔は『音無しの祭』と言われていたように、毎年の年乞の祈りが成就するまで家に籠って一切の音を立てなかったことからきているとする説などがあります。
この居籠祭は、1983年には「棚倉の居籠祭」として京都府指定文化財の第1号に指定されました。その後、1986年には、「涌出宮の宮座行事」として国の重要無形文化財にも指定されています。お祭りの期間中は屋台が並び、大変な賑わいを見せますし、春を呼び幸せを招く除厄招福諸願成就の祭でもありますので、皆様も一度訪れてみられてはいかがでしょうか。



和伎神社(涌出宮)
住所:京都府木津川市山城町平尾里屋敷61-9
問合せ:0774-86-2639
アクセス:JP奈良線 棚倉駅 徒歩5分
○居籠祭
日時:2月15・16・17日



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