らくがき寺

皆様は、授業中にノートに挿絵を書いたり、教科書の隅っこにパラパラ漫画を書いてみたり、花火で地面に絵を書いたような経験をお持ちでしょうか。学生を卒業すると、落書きをするような機会は少なくなると思いますが、ふと暇な時間ができた時に紙とペンが転がっていると絵を描いてしまう方もおられるのではないでしょうか。この様に、落書きと言えば大概は暇つぶしに行われるものですが、その落書きで大黒様にお願い事をする変わったお寺があることを皆様はご存知でしょうか。
らくがき寺と呼ばれるこのお寺は、正式名称を単伝寺と言う臨済宗のお寺です。苔むした庭に散らばる飛び石が趣をかもし出しているお寺で、境内の大黒堂にはちょっとユニークな大黒様がいます。走り大黒とも呼ばれているこの大黒様は、石清水八幡宮に奉納した楠で彫られた大黒様で、よく見かける大黒様と違い、左足を半歩前に出した今にも走り出しそうなポーズを取っておられます。そしてこの大黒様がおられる大黒堂がらくがき寺と呼ばれるようになった所以となっています。
この単伝寺は以前、和尚がおらず荒れ寺になっていた時期があったそうで、その単伝寺を復興しようという話が出たときに、沢山の方から援助の申し出があり、今の単伝寺が再建されました。その恩を返す為に、大黒堂の白壁にお願い事を書いてもらい、大黒様に良く見えるようにしようということになったのだそうです。その為、皆様が大黒堂に一歩踏み入ると、堂内の白壁いっぱいにお願い事が書かれている光景を見ることができるでしょう。本来なら落書きができない場所であるお堂の壁に、あえて落書きをしてもらい、大黒様にお願い事を聞いてもらおうというこの試みは、日本中でもこのらくがき寺だけですので、皆様も近くを通られた際にはいちど訪れてみられてはいかがでしょうか。
さて、今回ご紹介したらくがき寺は、堂内の白壁に落書きができるということで紹介させて頂きましたが、もちろん、それ以外の場所に落書きをすることはできません。寺院や景勝地などの観光地では、いろいろな落書きの被害が多発しているそうです。今回の白壁は、毎年大晦日の日に塗り替えられ、また新しく落書きをすることができますが、それ以外の場所は簡単に直せるものではありません。特に、永い年月をかけて作り上げられた自然風景や、寺院の柱などは、元通りにすることができないものです。安易な気持ちで刻み込んだり、書き込むことを記念とするのではなく、それを大切に守り続けることで、いつまでも思い出と同じ風景、雰囲気を楽しむことができるようにしたいですね。



らくがき寺(単伝庵)
住所:京都府八幡市八幡吉野垣内33
開門時間:土、日、月曜日 9:00〜15:00
料金:100円  らくがき料 300円
問合せ:075-981-230
アクセス:京阪電鉄 八幡市駅 徒歩10分



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