落柿舎

皆様は、秋の食べ物といえばどのようなものを思い浮かべられるでしょうか。梨や栗、秋刀魚やキノコなど秋には美味しいものがたくさんあるのですが、それらのなかで、柿が好きな方も多いのではないでしょうか。柿は、日本の特産として昔から栽培されていたそうで、「KAKI」と言えば世界でも通じるそうです。また、蛇や蜂などによる傷に効く塗り薬としても使われていたようで、北海道と沖縄以外の各地で栽培されています。そのような柿のたくさん生る場所が嵯峨にもあることをご存知でしょうか。
落柿舎(らくししゃ)と呼ばれるこの建物は、江戸時代を代表する俳人の一人である向井去来の草庵跡です。向井去来は長崎の出身で、天文学や暦学に詳しく、そのため、京都へ出てきてからは堂上家へ出入りしていました。その後、俳諧の道へ踏み入れ、松尾芭蕉の門下へ入り、十哲の一人となりました。松尾芭蕉は、伊賀(三重県)出身の俳人で、有名な『奥の細道』や『嵯峨日記』を残していますので、皆様ご存知のことでしょう。そして、この松尾芭蕉が嵯峨日記を書いた場所が、落柿舎なのだそうです。
落柿舎という名前は、ある秋に、庭にある柿の木とその実を売る約束をしたが、その日の晩に嵐が柿の実を全て落としてしまったという出来事に由来するそうで、向井去来がそのように呼び始めたとされています。この落柿舎は、茅葺き屋根の庵で、土間の荒壁には蓑と笠がかけられています。この蓑と笠は、この庵の主がいるかいないかを示すもので、蓑と笠がかけられている時は、主がいるという印なのだそうです。
今の落柿舎の建物は、京都の俳人である井上重厚が再建したものなのですが、向井去来が生活していた頃と変わらない田園風景の中のわらぶき屋根は、ゆったりした時間を感じることができます。そのような景色のなかの柿の木は、よくある紅葉の風景とはまた違った秋を感じる事ができるのではないでしょうか。また、庵には投句箱があり、優秀な作品は俳句誌「落柿舎」に掲載されるそうなので、一句ひねってみられてはいかがでしょうか。



落柿舎
住所:京都市右京区嵯峨小倉山緋明神町20
営業時間:9〜17時(1・2月は10〜16時) 無休
料金: 200円
問合せ:075-881-1953
アクセス:JR 嵯峨嵐山駅 徒歩20分/市バス 嵯峨釈迦堂前停 徒歩5分



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