インクライン・琵琶湖疏水

水路閣

京都で水道の蛇口を捻れば、当然、水が出てくるのですが、その京都市の水は琵琶湖から引かれていることをご存知でしょうか。京都と滋賀の間には山があるため、琵琶湖疏水を通って琵琶湖の水が京都に入ってくるのですが、この水は、水道水として使われる他、防火用水や、先日紹介させていただきました哲学の道の脇を流れる小川として、京都の生活を潤しています。
琵琶湖疏水は、明治時代に建設されたもので、水道用水の確保と、船での交通や運搬を目的として作られました。ちょうど、京都から東京に首都が移り、産業が衰退していく中で、京都復興の願いも込めて計画されたのですが、当初は計画を危ぶむ声も多くあったそうです。その当時にしては珍しく、ほとんど日本人だけで設計から工事まで行い、資材もセメントやダイナマイト以外は国内で調達しながら進められたそうです。9年にも及ぶ工事は難航を極め、一時期は囚人も動員されるほどだったそうです。途中、水力発電の事業が組み込まれ、蹴上発電所で発電された電気は日本初の路面電車に使われることになり、京都中に電気を供給していました。
さて、この琵琶湖疏水は、水の確保と並んで、物資の運送が大きな目的だったのですが、それを行う為には大きな関門がありました。というのも、九条山から蹴上にかけての582mでは36mの標高差があり、勾配も急なので、その区間はどうしても舟で移動できなかったのです。そこで導入されたのがインクラインと呼ばれる傾斜鉄道です。インクラインは、簡単に言うと、ケーブルカーのような仕組みで、舟に荷物を載せたまま台車で上まで運んでしまおうというもので、このインクラインの登場によって、琵琶湖と淀川が結ばれ、北陸や近江、大阪が結ばれることになりました。
このインクラインは、竣工から120年近くたつ中で、電車や車の普及によって使われなくなったのですが、蹴上船溜間の辺りにレールや台車の復元されたものが残されていたり、南禅寺水路閣や蹴上発電所の赤レンガの建物も残されております。この季節は、レール沿いの桜も綺麗なトンネルを作っていますので、岡崎や南禅寺哲学の道の辺りに来られた際には、足を伸ばしてみられてはいかがでしょうか。



インクライン
住所:京都市左京区南禅寺福地町
問合せ:琵琶湖疏水記念館 075-752-2530
アクセス:地下鉄東西線蹴上駅すぐ



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