ゑんま堂狂言・千本ゑんま堂
小さい時、「嘘をついたら閻魔様に舌を抜かれる」と言われて怒られた記憶のある方はどのくらいおられるでしょうか。多くの方が悪いことをすると閻魔様に地獄に落とされると聞かされて育ったかと思うのですが、この閻魔様が実は心優しい仏様だということをご存知でしょうか。閻魔様は、人間界を司る仏様で、亡くなった人が、いくつかあるあの世のどこへ行くべきかを決める裁判官のような役割を持っています。そのような役割を持っている為に、悪いことをした人間は地獄と呼ばれる三悪道に送らなければならないのですが、そうしたくないために、怖い顔をし、地獄へ落としてやるぞと脅して、正しい道へ進むようにしているのだそうです。
この閻魔様が祀られているお寺が、千本鞍馬口にあります。千本ゑんま堂と呼ばれて親しまれているこのお寺は、引接寺という本名をもつ真言宗のお寺で、小野篁によって開かれました。以前にも紹介したのですが、この小野篁は夜は閻魔様に仕えていたとされる人物で、閻魔様に「船岡山の麓に私の像を祀りおしょらい迎えを始めよ」と命ぜられてこのお寺を作ったと言われており、卒塔婆を用いて供養する現在の伝統習慣は、現世浄化のために小野篁が閻魔様より授かり、広げたものだそうです。余談にはなりますが、平安京三大葬送地のひとつである蓮台野の入口であったこのお寺の辺りには、無数の卒塔婆が立っていたそうで、そのために、この辺りの地名が千本となったとのこと。
さて、千本ゑんま堂の境内には、重要文化財に指定されている紫式部供養塔や、わらべちゃんと呼ばれて親しまれている童観音などがあり、本堂の閻魔法王像は、お盆やゑんま堂狂言の際に公開されています。この閻魔法王像は、両脇に検事の司命尊、書記の司録尊を従えており、３人の並んでいる様子は、とても迫力のあるものとなっております。また、この閻魔法王像も公開されるゑんま堂狂言が5月の1日から4日まで行われます。京都市の無形民族文化財にも登録されており、京都の三大念佛狂言の一つにも数えられておりますので、一度足を運んでみられてはいかがでしょうか。
千本ゑんま堂
住所：京都市上京区千本通蘆山寺上ル閻魔前町34番地
開門時間：9：00〜17：00 300円
問合せ：075-462-3332
アクセス：市バス 千本鞍馬口停 徒歩2分
○ゑんま堂狂言
日時：5月1〜4日（3・4日は夜にも公演有）
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